湯気の撮り方|料理撮影に使ってみたい簡単なテクニック

おでんをストロボで撮った写真

照明とミラーレス一眼レフカメラを使い、料理の温かみを伝える

暖かい料理の演出に、湯気は効果的です。

この記事ではカメラ初心者の方や、飲食店関係の方々が揃えやすい機材を使って、料理の湯気の簡単な撮影方法をお伝えします。

自己紹介

こんにちは、プロフォトグラファー歴18年超のyamahkyです。

料理撮影歴もキャリアと同じ長さです。もちろんここで使用している料理の写真は、ぼくが撮ったものです。

このブログは初心者の方や、飲食店関係者で料理撮影に悩んでいる方に向けて書いています。

最小限の機材と少ない手間で、いい感じの料理写真を撮れる方法を、分かりやすく簡単に紹介しています。

料理の背景である、湯気の写し方をお伝えします。

湯気が写真に入れば、あったかな雰囲気も伝わります。

背景や火加減など、ちょっとした事に気をつかえば、自然光や簡単な照明でも、湯気を撮ることが出来ます。

蒸気を出す小道具や煙などを、撮影用に使う人もいますが、ここではシンプルに料理からの湯気を使いましょう。

まずお伝えしたいのは、主役はおでんなのです。

つまり、あくまで主役は料理ですから、さりげなく湯気を映し入れることにします。

今回はカセットコンロも使います。

鍋に入ったおでんと湯気
▲おでんと湯気 完成写真です

今回は照明を使っての撮影の仕方ですが、自然光での撮影も別記事でご紹介しています。他にもイメージ写真用に、真俯瞰で撮ったおでんの記事も、ありますのでぜひどうぞ!

簡単!自然光を使っておでんを撮る

おでんイメージカットを撮ってみた

では目次です。

湯気の撮り方|おさえたい4つのポイント

背景で湯気を際立たせる

黒や灰色など、背景には暗いものを使います。また、部屋の温度を低くすることも有効です。

強火で攻め、一気に切る

今回の被写体、おでんは沸騰させない料理だと思いますが、湯気の撮影のためにしっかり沸騰させましょう。

グツグツした鍋の火を一気に切ると、急に湯気が立ち上がって来ます。

その瞬間を利用して、撮影しましょう。

湯気は溜めて放出

蓋をして、湯気をためて、撮る直前に外す。

蓋のオープン、ぜひ誰かに手伝ってまらいましょう。

写真はたくさん撮る

湯気なので、気まぐれな動きをします。

多めに撮っておきましょう。

開いた窓や空調も、湯気の動きに影響するので注意します。

※注意点

  • 目で見た印象で湯気が多くても、カメラのデータにうまく写っていないものです。料理本体とは別途、湯気用のライトが必要な場合も多いですが、手軽さを重視してここは使いません。撮影後の画像調整で、これに対応しています。
  • 今回に限って言いうと、おでんなので沸騰の泡はいらないですよね。鍋なので火を切っても、沸騰が続きます。湯気撮りに夢中になると、ついフレームに入るのでうまく隠しましょう。
  • プロでも一発では難しいです。何度も挑戦しましょう!

画像補正:湯気を強調する調整

湯気にはたった二つの調整でした

ここでは湯気を見せるため、簡単で最低限の画像調整の設定をご紹介します。これを目安として、いろいろアレンジしてください。

画像調整にはlightroomを使用しましたが、各カメラメーカーで提供している現像ソフトでも、問題ない程度の簡単な調整をしました。

現像ソフトを使用する前提なので、必ずrawで撮りましょう。

jpegのデータはお手軽な分、画像調整でデータをいじると色のバランスが大きく崩れます。データの容量は重くなってしまうのですが、rowで撮ることをおすすめします。

それでは湯気をしっかり見せる補正の数値をお伝えします。もちろん撮った写真によって調整は違ってきます。この調整は目安として見てください。

  • 湯気を出したのはこの二項目の調整 シャドウをあげて、黒レベルを下げる:シャドウ +72、黒レベル -23
  • 全体の明るさも調整:露光量 +50
  • 暖かさを表現するために、全体を暖かい色調に:色温度を5000

色温度は5150などもう少し高くてもいいかも知れません。好みで加減を変えます。

大切なのはやり過ぎないことなので、初めのうちは他の人に見せて感想を聞いてみましょう。

湯気の撮影テクニックをご紹介したところで、今回のおでんをどのように撮ったかをお伝えします。

気になった方は、ぜひ読み進めてください!

今回の撮影の流れ|構図決めと照明のセッティング

構図とフレーミング

まずは構図やフレーミングを決めます。

被写体の料理皿と、同じ大きさの空の器を用意します。

その空の器を使って、おおよその構図とフレーミングを考え、照明の位置をざっくり決めます。

三脚があると、決定したカメラの位置を、固定出来て便利です。

おでんを盛りつけ。撮影が始まる直前に二つのお皿を差し替えます。

鍋の中のおでんのたねは、あらかじめ見栄え良く並べておきます。

本番のおでんに差し替え、構図やフレーミングをさらに詰めていきます。

今回は湯気も撮るので、湯気をうつすスペースもフレーミングの際に忘れません。

また、角度によってフラットに見える、具材があったりします。

立体感があって食べる時の目線に近いアングルにしました。

おでんの登場前にある程度決め、登場後にすばやく写真を試し撮りしてからの決定でもいいでしょう。

▲こんな感じのセッティング(写真用にレフはちょっとずらしました)
カメラから見て照明が、おでんの左斜め後ろにありますね。照明の高さも注意して上げ下げします。
光の当たり具合を調整したら、ここに落ち着きました

ストロボヘッドの位置

上の写真を参考にしてください。ここではカメラから見た、照明の位置についてお伝えします。

照明の位置は、被写体とにらめっこして調整します。

メインとなる照明、キーライトは、おでんの後ろの左側(サイドリア)に置きました。

これは料理撮影ライティングの基本ポジションです。高さは被写体より上ですが、あまり上にはあげていません。 ローミディアムと呼ばれる高さです。

照明の位置は被写体である料理の登場前に、ある程度決めていきますが、登場後にも写真を試し撮りしながら詰めの調整をします。

レフ板の位置

レフ板は、サイドリアに置いたストロボの光を反射させるように、おでんの正面右側に置きました。

ライトの位置をライトポジションといいますが、キーライトって何?って思った方は、下のリンクをぜひ覗いてみてください。

料理撮影で覚えたい、たった7つのライティング用語

撮影データは

使用したカメラ
▲SONY α6300とSonnar T* FE 55mm F1.8 ZAとプロフォトのトリガー

1/160, f8, iso400, wb: 4200が撮影時の設定です。

撮影モード

マニュアルモードです。フォーカス以外のカメラの動きを設定します。

シャッタースピード

1/160に設定しました。

α6300でストロボを使う時の、一番高速なシャッタースピードです。カメラによって変わりますね。

F値

f8まで絞りました。

おでんのたねの後列が若干ボケる感じです。数回試し撮りしてから、決めました。

ISO

ISOの感度は400にしました。

今回のストロボの出力だと、400くらいが使いやすい感度設定値だと思います。

ホワイトバランス

ホワイトバランスは4200にしました。というか設定をとばしてしまった…。

rawデータなので特に、調整時の画像の劣化はないです。なので撮影後に画像ソフトで調整します。暖みのある仕上げにしたいので、5000~5300Kあたりします。もちろんあらかじめ、セットしても大丈夫です。

ピント

オートフォーカスですが、ピントの場所はしっかり指定しましょう。

α6300の罠

今回使ったα6300には、サイレント撮影って設定があって、これを切っていないとストロボがシンクロしません。

事前の動作確認って大切ですね!

使用した機材とおすすめスペック

機材リストです

  • カメラ:SONY α6300
  • レンズ:Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA
  • ストロボ:Profoto B2(ヘッドは一灯のみ使用)、Profoto OCF ソフトボックス 40x40cm
  • 三脚:Manfrotto 7322YB
  • レフ板:中型で畳めるタイプ

使用した機材詳細 その1:カメラとレンズ

今回はミラーレス一眼レフを使いました。

レンズは55mmの焦点距離のものです。

使用したカメラボディーα6300のセンサーは、APS-Cサイズなので実際の焦点距離は約82mmです。

料理撮影にはちょうどいい距離です。

使用した機材詳細 その2:ストロボとアクセサリー

ストロボはprofoto B2を使用しました。

同スペックのストロボやアクセサリーであれば、メーカーが違っても同様に撮影出来ます。

ヘッドは一灯ですが、ソフトボックスという光を柔らかくするアクセサリーを、ヘッドに付けています。

profoto B2はバッテリタイプで外ロケでも重宝します。

ヘッドは二灯も用意すれば、料理単品や一人分のコース料理の規模の写真はしっかりとれます。

仕様した機材:三脚について

あった方が、楽で便利です。

でも、しっかりカメラを持てば、ストロボ使用でブレることもないです。

使用した機材:レフ板

今回は大きめのレフ板を立て、白い面を使いました

おすすめしたい機材スペック

使用したストロボ
▲Profoto B2、Profoto OCF ソフトボックス 40x40cm

おすすめはレンズ交換ができるカメラと中焦点距離のマクロレンズ

焦点距離が40mmより長くなるレンズが付いている、コンパクトカメラを使っても大丈夫ですが、料理撮影の頻度が多い方は、始めからレンズ交換が出来るタイプのカメラを、選ぶ方が使いやすいと思います。

必須事項として、ストロボの発光とカメラのシャッターを、ストロボトリガーで連動させるので、ホットシューがカメラ側に付いているカメラでなくては、ストロボを使用できません。

もしくはシンクロコードを使用するストロボの場合は、カメラにシンクロ接点を使います。ない場合は、シンクロコードとホットシューをつなぐアダプターが、別途必要になります。

今回は使用していませんが、マクロレンズであれば、もっと料理撮影向けですね。

おすすめレンズについては、料理写真撮影に使いたい単レンズ:メーカー別でご紹介という記事があります。ぜひご覧ください!

コストを考えた上でのおすすめは、出力200W以上のモノブロックです。

モノブロックとは、ヘッドのみで使える小型ストロボです。

もともと出力が低いモノブロックは、カメラのISO感度を上げればいい場合もありますが、出力がある程度大きいに越した事はないです。

ただ大きいと重量も増えます。機材の持ち運びもなども考慮するといいですね。

クリップオンタイプは、カメラから外して使えるものでないと、今回のような撮影は難しいですね。

モノブロックタイプほど出力はないのですが、こちらも単品や定食くらいの規模なら問題なく撮影できます。

今回は一灯のみの使用ですが、モノブロックタイプもクリップオンタイプも、照明の光源は二灯あると安心です。

最後に

いかがでしたでしょうか?

湯気って撮るスピードが大切です。すぐ消えてなくなるので、カメラのレスポンスも重要ですよね。

最後にこの二点をお伝えします。

暖かさを表現するために、失敗しない背景をダーク一系で

薄い白色の湯気を撮るためには、背景は暗いものにします。

今回は黒の化粧板を使いましたが、壁に黒系の紙を貼ってもいいです。

もちろん黒一色だけである必要も、ないです。光が届かなければ、室内の陰などを、背景に選べばよいかと思います。

背景紙の注意点としては、大きめのをものをおすすめします。

この撮影で使用したものは91x41センチの化粧板です。

DIYショップで購入しました。

実はこれ、ギリギリの大きさで、もう少し大きいものでも良かったと、思っています。

ストロボ使用のメリット

ストロボ使用のメリットは、なんといっても光量が安定している事す。

自然光だと天気によって明るさが変わり、太陽も動くので時間帯によっても角度が違います。この場合、シャッターをきる時間によって、写真の印象が変わってきますね。

光のコントロールは、安定した結果を写真に出せるのがメリットです。

デメリットは撮影時の設置に場所をとる、機材を揃えるのにコストがかかるくらいです。

何よりもしつこく撮るのが一番でしょう! ぜひ挑戦してみてください!!

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湯気の撮り方|料理撮影に使ってみたい簡単なテクニック」への2件のフィードバック

  1. ピンバック: 簡単!自然光を使っておでんを撮る | メシドリ: Food and Photo

  2. ピンバック: おでんイメージカットを撮ってみた | メシドリ: Food and Photo

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